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屑米と陳皮サイレージを活用した採卵鶏自家配合飼料給与が産卵成績に及ぼす影響

祐森誠司1, 押尾優汰1, 鈴木希美2, 渡邉貴之2, 青山東一2,
1 静岡県立農林環境専門職大学生産環境経営学部, 磐田市富丘678−1, 438-8577
2 静岡県立農林環境専門職大学短期大学部, 磐田市富丘678−1, 438-8577

要約
自給飼料資源の有効活用を目指して、本試験は陳皮をサイレージ調製して屑米と共に採卵鶏に給与した際の鶏卵生産量と卵黄色に及ぼす影響を検討した。市販飼料を給与する対照区に比べて試験区では水分含量の高いサイレージが 50%を超えて含まれるため、乾物である摂取栄養素量の不足が生じていると推定された。摂取栄養素量を高めるために試験区の給与量を 1.5 倍に高めたところ、試験区採食量は対照区よりも 1.3〜1.4 倍高まった。しかし、乾物摂取量は試験区が少なかった。試験区の産卵数が対照区に比べて少ない傾向(P < 0.05)にあるのは摂取栄養素量が少ないことに加え試験区の飼料ではペクチンのような繊維含量が多いため摂取栄養素の消化吸収に負の作用が働いたと考えられ、血中成分はこれらを裏付ける内容であった。また、卵黄色を示すカラーチャートの値は対照区 12.5 に対して試験区が 4.7 であり、有意に(P < 0.01)低かったが、色調として赤みは低下したが黄色を維持していた。卵黄に含まれるβ-クリプトキサンチンは試験区で対照区の約 4 倍となった。

キーワード: 屑米、陳皮サイレージ、産卵成績、β-クリプトキサンチン

受領日: 05.02.2025. 受理日: 17.02.2025.
Journal of Animal Production Environment Science

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私立大学附属農場における黒毛和種の改良に関する記録

郡山政義1, 佐藤光夫2
1 前・東京農業大学農学部富士農場, 静岡県富士宮市麓422, 418-0109
2 前・東京農業大学農学部畜産学科, 神奈川県厚木市船子1737, 243-0034

要約
本報告では黒毛和種が肉用牛としての価値を検討し始めた時代から今日の育種価を利用した先端的な系統造成が取り組まれるようになった時代変遷のなかで、私立大学農場として数多くの学生が接触する教材としては当然のことながら、肉質と肉量の生産に秀でた系統の肉牛の改良と飼育管理法の工夫に関した取組について報告する。結果としてヒトとの平穏な関係を構築するには、連産に対する基礎体力が大きく、連産系資質に加えて、起伏の激しい野草地を開墾して活用する独自の黒毛和種繁殖雌牛の飼養管理方式と、母子分離時期の早期化によるストレス低減が影響していると考えられた。また、肉質、肉量の改良には基本的に一代祖に藤良系 × 二代祖に熊波系 × 三代祖に田尻系や気高系を用いた母系作りのような資質を挟み混む交配組み合わせが功を奏し、強健で確実に連産系の資質を引き継ぎ、肉質、増体の改良も進んだと考えた。

キーワード: 黒毛和種、改良、私立大学附属農場、連産系

受領日: 08.01.2025. 受理日: 21.01.2025.
Journal of Animal Production Environment Science

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乳牛哺育センター利用牛における初産後の検定成績に関する評価

猫本健司, 二谷梨絵子, 成田豊
酪農学園大学 農食環境学群, 北海道江別市, 069-8501

要約
酪農業の外部委託組織の一つである乳牛哺育センターは、酪農家に代わって後継牛を哺育・育成することにより酪農家の労力軽減につながるだけでなく、増体率の高さや死廃率の低さから将来の乳代収入の増加にもつながり、経済的利益を生産者にもたらす可能性が高いことを以前報告した。本研究では実際に同センターで哺育・育成され、酪農場に戻って母牛になった個体の初産月齢や乳量などの生産性について分析し、同センターを利用する利点や課題などを検討した。調査対象は北海道の一乳牛哺育センターを利用している 38 軒の酪農場のうち、一部の牛を自家育成している 4 軒の酪農場とし、同センター利用牛(預託群)および自家育成牛(非預託群)における初産後の検定成績(初産日齢や体重、乳量、乳質、繁殖成績など)を比較分析した。2軒の酪農場の初産日齢の平均は非預託群に比べて預託群では 19 および 24 日短縮し、初回検定時の体重は 1 軒の酪農場で同様に平均で 41 kg 増加したことから自家育成では不得手であった部分を同センターに預けることで補われたと考えられた。また、搾乳ロボットの導入により比較的高泌乳量である一軒の酪農場では預託群の 305 日乳量が非預託群より 5~7%高かった。一方、体細胞数は 3 軒の酪農場において非預託群より預託群の方が有意に高い傾向が認められたが、預託群における酪農場毎の平均は 32~58 [千個/ml] と低水準であり、比較的良い乳質レベルであった。以上のことから、乳牛哺育センターを利用することによって母牛に対して好ましくない事象は本研究からは認められなかった。同センターへの預託は、群飼養にともなう場内感染による多少のロスや預託料の負担があるものの、低い死廃率や増体率の高さに加え、初産日齢の短縮などにより経済的利益が増加するため酪農生産者にとって同センターの利用価値は高いと言える。

キーワード: 乳牛哺育センター、牛群検定成績、初産日齢、死廃率、酪農場

受領日: 10.09.2024. 受理日: 29.11.2024.
Journal of Animal Production Environment Science

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柚子の給与が肉用鶏の肉質と食味に及ぼす影響

押尾優汰1, 金森千尋1, 駿河磨緒2, 青山東一2, 祐森誠司1
1 静岡県立農林環境専門職大学生産環境経営学部, 磐田市富丘678−1, 438-8577
2 静岡県立農林環境専門職大学短期大学部, 磐田市富丘678−1, 438-8577

要約
規格外等で廃棄される有機資源の活用として柚子を飼料原料とした肉用鶏の飼育試験を行い、飼料の嗜好性および生産肉の食味官能評価への影響について検討した。30 羽の肉用鶏(3 週齢)を無作為に対照区と試験区の2区に15羽ずつ分割した。いずれの区も飼育は開放式平床ケージ(5 m2)で行い、光線管理は行わなかった。対照区は市販飼料、試験区は市販飼料に柚子の果皮を添加して給与した。飼料摂取量、柚子摂取量および試験終了時の体重、ならびに官能評価の結果を区間で比較した。飼料摂取量、柚子の摂取量ならびに試験終了時の平均体重に有意差は認められなかった。官能評価の結果から柚子の香りは鶏肉に移行していないと考えられた。総合評価は試験区で若干高い評価を受けるとともに加工時に加熱損失が少なかったことやドリップに脂質が少なかったことなどから柚子の添加給与はオリジナルブランドの鶏肉生産に寄与する可能性が示唆された。

キーワード: 肉用鶏、柚子、官能評価

受領日: 06.11.2024. 受理日: 19.11.2024.
Journal of Animal Production Environment Science

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抗菌剤使用の制限意識が高まる養豚におけるキトオリゴ糖の活用
― 腸内環境の制御を中心に ―

押田明則, 大貫勝彦
株式会社フロンティアインターナショナル, 神奈川県川崎市麻生区, 215-0025

要約
薬剤耐性菌の対策として抗菌剤の使用制限が提唱されるようになり、代替品として検討されたキトオリゴ糖(以下、COS)について話題提供した。COSの作用を検証するために行われた様々な抗菌剤との比較試験ではそれらの機序は異なるものの、結果として、十二指腸から回腸までの間で絨毛の発達を促進したり、微生物叢を好ましい状態にするなどの腸内環境を改善し、その作用は抗菌剤と同等の影響力を有するとしていることからCOSは抗菌剤の代替品として利用可能と考えられ、その適正な飼料中の濃度は 200〜600 mg/kg飼料の範囲と考えられた。

キーワード: キトオリゴ糖、養豚

受領日: 18.06.2024. 受理日: 01.08.2024.
Journal of Animal Production Environment Science

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Changes in chemical composition during the metamorphosis stages of Tenebrio molitor

Maho Yamanaka1, Sachika Okuno2, Toshinori Nakagawa3, Katsuyoshi Sato1, Jun Watanabe4, Masaki Yokoo1, Takuji Hirayama2
1 Faculty of Bioresource Sciences, Akita Prefectural University, 2-2 Aza Minami Ogata-mura, Minamiakita-gun, Akita 010-0444
2 School of Bioresources and Environmental Science, Ishikawa Prefectural University, 1-308 Suematsu, Nonoichi City, Ishikawa 921-8836
3 School of Environmental Science, University of Shiga Prefecture, Hikone, Shiga 522-8533
4 Agri-Innovation Education and Research Center, Akita Prefectural University, 6-5 Aza Ogata Ogata-mura, Minamiakita-gun, Akita 010-0451

Abstract
Abstract In recent years, the demand for alternative proteins has increased with the growth of the global population. Tenebrio molitor (T. molitor) larvae have been widely used as feed for pets, zoo animals, and livestock. It has four life stages: egg, larva, pupa, and adult. T. molitor is often fed as a larva, but it can also be fed as a pupa or adult as feed for large reptiles and birds. In this study, we investigated the chemical composition of T. molitor at different metamorphosis stages. The test samples were T. molitor larvae, pupae, and adults, and three groups of 20 individuals per group were used at each metamorphosis stage. We measured moisture, crude protein, nitrogen free extracts, crude ash, ether extracts, and fatty acid contents in T. molitor at each metamorphosis stage. Moisture and crude protein contents were significantly lower in larvae than in pupae and adults. Ether extracts and nitrogen free extracts contents were significantly higher in larvae than in pupae and adults. Unsaturated fatty acid content was significantly different between all metamorphosis stages (P <0.01). The pupa was the highest, followed by the larvae and adults. These results suggest that the chemical components of T. molitor change during metamorphosis.

Keywords: Fatty acid, Mealworm, Metamorphosis stage, Chemical composition, Tenebrio molitor

Receipt of Ms: 09.05.2024. Accepted: 27.06.2024.
Journal of Animal Production Environment Science

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